家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)


そんなことを思いながら食べていると、正面に座ってる巳波からの視線が痛い程突き刺さる。


「…な、何?」


「モンブラン、ずるい」


巳波はサラダを食べ終わったのか、いちごミルクを飲みながらそんなことを言ってくる。


…いちごミルク似合わないなぁ。


見た目は御伽噺に出てくる王子様みたいにかっこいいのに、いちごミルクを飲んでることで、何とも言えない残念感が拭えない。


ここで紅茶なんかを飲んでたら絵になるのに…。


しかも、モンブラン食べたそうにしてるとかどんだけ甘い物好きなの!?


「これは駄目、自分へのご褒美なんだから」


バイトが終わってから、デザートを食べるのがもう習慣づいてしまってる。


「…ご褒美?」


「そう。あなたも役に立つことをしたらあげなくもないかもね」


しゅん…とあからさまに落ち込んでみせる巳波。


今度は惑わされない!


「そんなに食べたいんだったら、家に帰ればいいじゃない」


ほら、親でも呼んで車で迎えに来てもらってよ。


「帰る場所無い、」


「……」


今の言葉、禁句だったかな…。


「ごめん」


謝っとこう。


正に土下座だ。


フローリングに額をくっつける。


「別に、気にしてない」


そう、なの?

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