家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)
だが、その男は俺の隣に腰掛けた。
「んな顔してんのにほっとけるわけねぇだろ」
妙にそう言ったそいつの言葉が心に沁みた。
おかしい。
今日は何でこんなにも感情が変化していくんだろう。
「…関係ないって。俺みたいな知らない奴ほっとけばいい」
「お前は勘違いしてる、俺はな、俺の為に聞いてるんだよ。お前の為なんかじゃねぇよ」
はぁ?
と思った。
何言ってんだ、と。
「ただの好奇心…」
「そうだな…ただの好奇心だよ」
そんなそいつの正直な言葉に俺は阿保だと思った。
だけど、嫌いではない。
この阿保みたいな男は見上げた星みたいに輝いて見えて
「だから、“麒麟”でもっとお前の話聞かせろよ」
その言葉に無意識に頷いていたんだ。
side END