家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)


そしてそのまま、文化祭開始。


あたしは前半の当番で、笑顔を振りまく。


「いらっしゃいませ、ご主人様〜♡」


自分でも吐きそうなくらいの猫なで声。


あー、もう!


こんなことしてる暇ないのにっ!


内心ではそんなことを思いながらもちゃんとスマイルは崩さない。


これはきーさんを見本に出来るようになった。


「神代さん!お客様どんどん来たよ〜」


「はーい!」


笑顔、笑顔、甘い声色。


「…はぁ〜」


ひと段落ついたところで思い切り溜息を吐く。


表情筋が…笑顔を保ったままだったから顔が痛い。


手でグルグルと頰をほぐすようにマッサージする。


メイド喫茶って…こんなにお客さん入るもんなの?


しかも、軽くセクハラ紛いなこともされるし…。


巳波に会いたいな。


「癒しが欲しい〜!」


このまま巳波に会えずに文化祭が終わってしまうのは勿体無い。


でも何処で何してるかわかんないし、巳波は後半働くっていう可能性もある。


こればかりは運頼みかな…。


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