家の前で倒れている男に餌付けしてみた結果(仮)
「はい、神代さん休んでる暇なんかないよ〜あなたはクラスの売り上げNo. 1なんだから!」
「…はぁ」
ニカッと笑って言う委員長に苦笑いを向ける。
重い足取りでお客様の所に行き、いつもと同じくとびっきりの営業スマイルでお客様を見上げた。
「いらっしゃいませ、ご主人様っ♡2名様で__」
目の前のお客様と目が合った瞬間硬直してしまう。
そして徐々に恥ずかしさで顔が火照ってきた。
「…柚?」
いつもと変わらぬ表情でどうしたのかとでも言うようにあたしの顔を覗く巳波。
会えた。
会えた、会えた!!
嬉しいような恥ずかしいようなもどかしい感じ。
慣れてきたメイド服も今すぐ脱ぎたい衝動に駆られる。
「八尋?どうしたの?」
でも会えたってだけで舞い上がっていたあたしの前にあの子は現れた。
清純そうな見た目をした麒麟のお姫様。
あの子の顔を見るだけで胸がキリリと痛む。
巳波ってあの子と仲良いのかな?
前に会った時は嫌悪感丸出しだったのに、一緒に回ってる。
そして、お姫様の腕は巳波の腕としっかりと交差させられていた。