片想いの奇跡
有里side
暑い夏が終わり涼しくなってきた頃
城西高校、2-Aの教室ではいつものように喋り声が響いていた
「次の授業何?」
「社会だよ」
「うわー季佐木じゃん」
「季佐木先生でしょ」
「うるせーないいんだよ。お前らだって、堂一先生って呼んでるだろうが。」
「堂一先生は堂一先生だもん」
「それ理由になってねぇぞ」
いつものようにクラスの男子と女子が言い合いをしている
『新学期が始まったというのにそんなんじゃ体力もたない』
そう思っているのだろう
私の前であきれたように座っている、"春"を見てそう思った
「春、顔に出てるよ」
「え」
この子は菊川春(きくかわはる)
「あきれてることがすぐわかったよ。」
「え、そうかな…」