ビターチョコ
誰かの小鳥が囀るようなアラームによって目が覚めた。
アラームは、持ち主が止めてくれないため、無慈悲に鳴り続けている。
ユサユサと横にいた美冬の身体を揺すって起こす。
淡いグリーンのスマホカバーが付いたものは、彼女のものだ。
なんでも、彼氏の小野寺くんからプレゼントされたものらしい。
「んぅ……いま何時……?
ってか、美冬のスマホ?
んも、可愛い音だけど徐々に大きくなるの止めて……
本人起きないの?」
目を擦りながら深月も起きたようだ。
椎菜の姿がない。
彼女は起きたのだろうか。
深月と協力して美冬を起こすと、ようやく彼女の手によってアラームは止められた。
「あれ?
皆起きたんだ。
おはよう」
皆を気遣ってか、そっとドアが開いた。
髪はいつものように巻かれておらず、ストレートのままの椎菜が顔を出していた。
服装はキャミソールワンピースにカーディガンだ。
「おはよ。
それで?
男性陣は起きてる?」
「桜木くん以外は全員起きてる。
麗眞なんて、寝ぼけて私の服脱がそうとしてくるし、もうホントに困ったけど」
そう言いつつ、伏せられた顔は真っ赤だ。
「あわよくばを期待してた顔だね?
まったくもう。
だから担任からも早く結婚しろ言われるのよ」
そう言ったのは美冬か深月か。
皆は何やかんや言いつつ、既に制服に着替えている。
「今日何だっけ?」
「劇の配役決めと台本の読み合わせだった気がする。
その後特別講師呼んで講演があるとか昨日担任が言ってたような……」
「ダルっ……」
「でもまぁ、週明け抜き打ちテストだからね。
その準備したいみたいだし、教師陣が授業入れないだけマシじゃない?」
「まぁね……
その分、とんでもない内容じゃないことを祈るけど」
そんな会話に花を咲かせつつ、私も制服に着替える。
着替えを終えた頃、外からコンコンとノックの音が聞こえた。
「女性陣、起きてる?
そろそろ朝ごはんできるって、ここの主が言ってたから、呼びに来た。
支度終わったら降りてくるといいと思うよ」
この、皆との距離感をはかりかねている、ぞんざいな言葉の掛け方は桜木くんだろう。
とっくに髪のセットもメイクも終えた椎菜が、くすっと笑みをこぼした。
「やっぱりね!
一番遅く起きた人が罰として女性陣の部屋に行って声をかける、みたいなことになってたの!
一番早かったのが麗眞よ。
麗眞と僅差で秋山くん。
小野寺くんもその2人ほどじゃないけど割と早かったみたい。
夜のイチャつき有りで寝てたら、結果は分からなかったんだろうけど。
まぁ、寝起きの姿を愛しの人に見られなかったから、いいんじゃない?」
ヘアアイロンを深月に手渡しながら、椎菜は優しく彼女と美冬の頭を撫でた。
私も手早くメイクを終えて、いつものメガネをかけた。
それを見届けたかのように、美冬が行こっか、と声を掛けた。
食堂に着くと、豪華なテーブルには和食が並んでいた。
和食がありがたい。
炊きたてのご飯にありつこうと箸を手に取ったとき、一番寝起きが悪かったという桜木くんに声を掛けられた。
「おはよ。
オレは環境変わると一応入眠は出来るけど寝起きが悪いんだ。
修学旅行がどうなるか、恐ろしいや。
とにかく、今日も頑張ろうぜ。
煩わしい授業はないし」
「そうなんだ……
まぁでも、そういう人はたくさんいるから気にしなくていいと思うよ。
程々に乗り切ろうね」
それだけの言葉を返して、一口あおさの味噌汁に手を付けた。
「お食事とお支度が済んだ方は、屋敷の外へどうぞ。
皆様まとめて、学園までお送りいたします」
相沢さんがそう言ってくれた。
荷物を持ってこようと思ったら、相沢さんが私たち女性陣のスクールバッグやらリュックを抱えていた。
皆でリムジンに乗り込んで、学園に向かった。
アラームは、持ち主が止めてくれないため、無慈悲に鳴り続けている。
ユサユサと横にいた美冬の身体を揺すって起こす。
淡いグリーンのスマホカバーが付いたものは、彼女のものだ。
なんでも、彼氏の小野寺くんからプレゼントされたものらしい。
「んぅ……いま何時……?
ってか、美冬のスマホ?
んも、可愛い音だけど徐々に大きくなるの止めて……
本人起きないの?」
目を擦りながら深月も起きたようだ。
椎菜の姿がない。
彼女は起きたのだろうか。
深月と協力して美冬を起こすと、ようやく彼女の手によってアラームは止められた。
「あれ?
皆起きたんだ。
おはよう」
皆を気遣ってか、そっとドアが開いた。
髪はいつものように巻かれておらず、ストレートのままの椎菜が顔を出していた。
服装はキャミソールワンピースにカーディガンだ。
「おはよ。
それで?
男性陣は起きてる?」
「桜木くん以外は全員起きてる。
麗眞なんて、寝ぼけて私の服脱がそうとしてくるし、もうホントに困ったけど」
そう言いつつ、伏せられた顔は真っ赤だ。
「あわよくばを期待してた顔だね?
まったくもう。
だから担任からも早く結婚しろ言われるのよ」
そう言ったのは美冬か深月か。
皆は何やかんや言いつつ、既に制服に着替えている。
「今日何だっけ?」
「劇の配役決めと台本の読み合わせだった気がする。
その後特別講師呼んで講演があるとか昨日担任が言ってたような……」
「ダルっ……」
「でもまぁ、週明け抜き打ちテストだからね。
その準備したいみたいだし、教師陣が授業入れないだけマシじゃない?」
「まぁね……
その分、とんでもない内容じゃないことを祈るけど」
そんな会話に花を咲かせつつ、私も制服に着替える。
着替えを終えた頃、外からコンコンとノックの音が聞こえた。
「女性陣、起きてる?
そろそろ朝ごはんできるって、ここの主が言ってたから、呼びに来た。
支度終わったら降りてくるといいと思うよ」
この、皆との距離感をはかりかねている、ぞんざいな言葉の掛け方は桜木くんだろう。
とっくに髪のセットもメイクも終えた椎菜が、くすっと笑みをこぼした。
「やっぱりね!
一番遅く起きた人が罰として女性陣の部屋に行って声をかける、みたいなことになってたの!
一番早かったのが麗眞よ。
麗眞と僅差で秋山くん。
小野寺くんもその2人ほどじゃないけど割と早かったみたい。
夜のイチャつき有りで寝てたら、結果は分からなかったんだろうけど。
まぁ、寝起きの姿を愛しの人に見られなかったから、いいんじゃない?」
ヘアアイロンを深月に手渡しながら、椎菜は優しく彼女と美冬の頭を撫でた。
私も手早くメイクを終えて、いつものメガネをかけた。
それを見届けたかのように、美冬が行こっか、と声を掛けた。
食堂に着くと、豪華なテーブルには和食が並んでいた。
和食がありがたい。
炊きたてのご飯にありつこうと箸を手に取ったとき、一番寝起きが悪かったという桜木くんに声を掛けられた。
「おはよ。
オレは環境変わると一応入眠は出来るけど寝起きが悪いんだ。
修学旅行がどうなるか、恐ろしいや。
とにかく、今日も頑張ろうぜ。
煩わしい授業はないし」
「そうなんだ……
まぁでも、そういう人はたくさんいるから気にしなくていいと思うよ。
程々に乗り切ろうね」
それだけの言葉を返して、一口あおさの味噌汁に手を付けた。
「お食事とお支度が済んだ方は、屋敷の外へどうぞ。
皆様まとめて、学園までお送りいたします」
相沢さんがそう言ってくれた。
荷物を持ってこようと思ったら、相沢さんが私たち女性陣のスクールバッグやらリュックを抱えていた。
皆でリムジンに乗り込んで、学園に向かった。