ビターチョコ
見た夢の話を終えると、各々、色々な反応を見せた。
「理名ちゃん、見かけによらずロマンチストだね?
うん、意外だわ!
シチュエーションめっちゃベタなんだもん!
少女漫画そのまんま!」
華恋ちゃんの反応に、心の中でツッコミを入れる。
生まれてこの方、少女漫画などというものは読んだことはない、と。
「近いうちに正夢になったりして。
運命的、ってやつ?」
「夢の通りにはならないっぽいけどね。
そういうことした後って、本人もちょっと気恥ずかしいだろうし。
理名ちゃんが本当に怪我ないかだけ確かめたら早くその場から立ち去りそうだけど」
「うんうん。
それだけじゃ飽き足らず、お持ち帰りしそうな人は、私たちの知ってる中で1人いるけどね」
深月ちゃんと美冬ちゃんが、好き勝手に会話を展開する。
それって、もしや麗眞くんのこと?
「大丈夫、お持ち帰りするのは椎菜ちゃんだけだって。
他の女の子は助けた後に気をつけなよ?とだけ言ってカッコよく立ち去るんじゃない」
「ね、理名ちゃん。
私たちは、心理学やらちょっとした恋愛テクしか知らないから、よくわかんないの。
なんでその男の人は理名ちゃんを助ける時に鳩尾と首の側面と膝狙ったの?」
深月ちゃんの疑問はもっともだった。
私も、詳しくは知らない。
スマホののweb検索に頼る。
「それはね、首には頚動脈と頚静脈が通っていて、うまく行けば脳震盪起こさせるくらいはできるの。
鳩尾も同じ理由。
重要な動脈や神経が通ってるから、殴れば一時的な呼吸困難にしたり、気絶も有り得る部位なの。
膝は言わずもがな、あまり鍛えられないし、どの角度からの攻撃にも弱いんだって。
だから膝の側面を蹴れば、相手を負傷させたりとか、攻撃能力を奪ったりできるみたい」
取り急ぎ、ウェブ検索で護身術について調べたものを見ながら言う。
「そんなことを普通に知ってるのって、理名ちゃんみたいに、家族の誰かが医者だとか看護師だとかって人なんじゃないかな」
深月ちゃんの的確な指摘に、各々騒いでいた周りの子たちも、深月ちゃんの方を見た。
「確かにそうなのかも。
調べたものによると、鳩尾は服を着ているとその位置を正確に見定めるのは難しいって書いてあるし」
「やっぱりそうだ。
1つ、理名ちゃんのまだ見ぬ王子様の手がかりが増えたね!
情報集めやすくなった!」
手放しで喜ぶ美冬ちゃん。
王子様、って。
勝手に、人を「白馬の王子様」みたいに言うのはどうかと思うけど。
「あ、ねぇ理名ちゃん、着替えて顔洗っちゃったら?
あと15分くらいで起床時間だし、そろそろ先生が様子見に来るんじゃない?」
華恋ちゃんの言葉に、美冬ちゃんたちが反応する。
「先生来るの?
やば!
私たち、部屋戻らなきゃじゃん」
「理名ちゃんたち、またレストランで会おうねー!」
美冬ちゃんたちはそう言い残して、慌てて私たちの部屋から出て行った。
朝から忙しそうな人たちだなぁ。
彼女たちはいつ起きたのだろうか。
笑みを零しつつ、Tシャツとジャージの上下を脱ぐ。
さっと、トップスを肩掛けしたようなデザインの服を着て、上からデニムサロペットを履けば今日のコーディネートは完成だ。
「便利なもの買ったよね、理名ちゃん。
そのサロペット楽だし、インナー変えれば雰囲気も変わるもんねー」
「襟の開き大きいから、ちょっと色気も出るしねー」
深月ちゃんと、碧ちゃんが手放しで褒めてくれて嬉しかった。
深月ちゃんも、シフォンとレース切り替えのネイビーのブラウスにミモレ丈デニムスカートを合わせている。
碧ちゃんは、 パフスリーブで、タックが入ったスカート、ベルトでウエストを絞ったシルエットのデニムシャツワンピースに黒タイツを着ている。
「2人のも、似合ってるー!」
そう言って洗面所で顔を洗ってからメガネを掛けた。
まだ、もう少し時間はある。
そう思っているとコンコンと2回ノックの音がした。
ドアを開けると、担任の先生がドアの前に立っていたのだ。
「起きてたのか。
おはよう。
岩崎、昨日は大丈夫だったのか?」
「はい。
麗眞……えっと、宝月くんも、伊藤先生もいましたから」
「そうか」
それだけを言った先生は、もうすぐ朝食の時間だからちゃんと来いと言うようなことを部屋のドアに向かって声高に叫んだ。
その後、のそのそと廊下の奥に消えて行った。
一部屋ずつ、こうして見回っているらしい。
「言われなくても行くっつーの」
「こっちはいつでも行けるのにね?」
そう言いながら、私たち3人はレストランへ向かった。
ふあ、とあくびを連発する深月ちゃん。
誰がどう見ても、徹夜しました、というのが分かる。
「まさか、一晩中起きてたの?」
「そうだよ。
華恋と美冬と3人でね!
いろいろ、華恋と美冬の恋愛遍歴、聞いちゃった」
スキップしそうな勢いで、廊下を歩く深月ちゃん。
恋愛話は女子の得意分野であるらしい。
私だけ蚊帳の外だ。
まぁ、後で話してくれるだろう。
仮に話してくれなかったとしても、私には人の恋愛に口を挟む資格も経験もないから、構わないのだが。
ちょうどドアが開いたエレベーターに乗ってレストランに急いだ。
「理名ちゃん、見かけによらずロマンチストだね?
うん、意外だわ!
シチュエーションめっちゃベタなんだもん!
少女漫画そのまんま!」
華恋ちゃんの反応に、心の中でツッコミを入れる。
生まれてこの方、少女漫画などというものは読んだことはない、と。
「近いうちに正夢になったりして。
運命的、ってやつ?」
「夢の通りにはならないっぽいけどね。
そういうことした後って、本人もちょっと気恥ずかしいだろうし。
理名ちゃんが本当に怪我ないかだけ確かめたら早くその場から立ち去りそうだけど」
「うんうん。
それだけじゃ飽き足らず、お持ち帰りしそうな人は、私たちの知ってる中で1人いるけどね」
深月ちゃんと美冬ちゃんが、好き勝手に会話を展開する。
それって、もしや麗眞くんのこと?
「大丈夫、お持ち帰りするのは椎菜ちゃんだけだって。
他の女の子は助けた後に気をつけなよ?とだけ言ってカッコよく立ち去るんじゃない」
「ね、理名ちゃん。
私たちは、心理学やらちょっとした恋愛テクしか知らないから、よくわかんないの。
なんでその男の人は理名ちゃんを助ける時に鳩尾と首の側面と膝狙ったの?」
深月ちゃんの疑問はもっともだった。
私も、詳しくは知らない。
スマホののweb検索に頼る。
「それはね、首には頚動脈と頚静脈が通っていて、うまく行けば脳震盪起こさせるくらいはできるの。
鳩尾も同じ理由。
重要な動脈や神経が通ってるから、殴れば一時的な呼吸困難にしたり、気絶も有り得る部位なの。
膝は言わずもがな、あまり鍛えられないし、どの角度からの攻撃にも弱いんだって。
だから膝の側面を蹴れば、相手を負傷させたりとか、攻撃能力を奪ったりできるみたい」
取り急ぎ、ウェブ検索で護身術について調べたものを見ながら言う。
「そんなことを普通に知ってるのって、理名ちゃんみたいに、家族の誰かが医者だとか看護師だとかって人なんじゃないかな」
深月ちゃんの的確な指摘に、各々騒いでいた周りの子たちも、深月ちゃんの方を見た。
「確かにそうなのかも。
調べたものによると、鳩尾は服を着ているとその位置を正確に見定めるのは難しいって書いてあるし」
「やっぱりそうだ。
1つ、理名ちゃんのまだ見ぬ王子様の手がかりが増えたね!
情報集めやすくなった!」
手放しで喜ぶ美冬ちゃん。
王子様、って。
勝手に、人を「白馬の王子様」みたいに言うのはどうかと思うけど。
「あ、ねぇ理名ちゃん、着替えて顔洗っちゃったら?
あと15分くらいで起床時間だし、そろそろ先生が様子見に来るんじゃない?」
華恋ちゃんの言葉に、美冬ちゃんたちが反応する。
「先生来るの?
やば!
私たち、部屋戻らなきゃじゃん」
「理名ちゃんたち、またレストランで会おうねー!」
美冬ちゃんたちはそう言い残して、慌てて私たちの部屋から出て行った。
朝から忙しそうな人たちだなぁ。
彼女たちはいつ起きたのだろうか。
笑みを零しつつ、Tシャツとジャージの上下を脱ぐ。
さっと、トップスを肩掛けしたようなデザインの服を着て、上からデニムサロペットを履けば今日のコーディネートは完成だ。
「便利なもの買ったよね、理名ちゃん。
そのサロペット楽だし、インナー変えれば雰囲気も変わるもんねー」
「襟の開き大きいから、ちょっと色気も出るしねー」
深月ちゃんと、碧ちゃんが手放しで褒めてくれて嬉しかった。
深月ちゃんも、シフォンとレース切り替えのネイビーのブラウスにミモレ丈デニムスカートを合わせている。
碧ちゃんは、 パフスリーブで、タックが入ったスカート、ベルトでウエストを絞ったシルエットのデニムシャツワンピースに黒タイツを着ている。
「2人のも、似合ってるー!」
そう言って洗面所で顔を洗ってからメガネを掛けた。
まだ、もう少し時間はある。
そう思っているとコンコンと2回ノックの音がした。
ドアを開けると、担任の先生がドアの前に立っていたのだ。
「起きてたのか。
おはよう。
岩崎、昨日は大丈夫だったのか?」
「はい。
麗眞……えっと、宝月くんも、伊藤先生もいましたから」
「そうか」
それだけを言った先生は、もうすぐ朝食の時間だからちゃんと来いと言うようなことを部屋のドアに向かって声高に叫んだ。
その後、のそのそと廊下の奥に消えて行った。
一部屋ずつ、こうして見回っているらしい。
「言われなくても行くっつーの」
「こっちはいつでも行けるのにね?」
そう言いながら、私たち3人はレストランへ向かった。
ふあ、とあくびを連発する深月ちゃん。
誰がどう見ても、徹夜しました、というのが分かる。
「まさか、一晩中起きてたの?」
「そうだよ。
華恋と美冬と3人でね!
いろいろ、華恋と美冬の恋愛遍歴、聞いちゃった」
スキップしそうな勢いで、廊下を歩く深月ちゃん。
恋愛話は女子の得意分野であるらしい。
私だけ蚊帳の外だ。
まぁ、後で話してくれるだろう。
仮に話してくれなかったとしても、私には人の恋愛に口を挟む資格も経験もないから、構わないのだが。
ちょうどドアが開いたエレベーターに乗ってレストランに急いだ。