ビターチョコ
GWは、入院生活で寝て過ごした。
しばらく経って、GWの最終日には、皆がお見舞いに来てくれた。
今度は、麗眞くんも一緒だ。
彼は、この間椎菜づてに渡してくれた菓子折りがあまり減っていないのを、すでに予測していたかのようだった。
彼の執事の相沢さんがお菓子を取り分けてくれて、さらに、プラスでお菓子を持って来てくれていた。
抹茶ケーキにフルーツカステラ、ゼリーまである。
ちょっとしたお菓子パーティーのようだ。
拓実くんには、私が退院したら映画とカフェに行きたいと話して、既に日程も調整している。
その話をすると、色恋沙汰が好きな深月や華恋が喜んでくれた。
話題は、明後日に、本入部を決めることになる部活をどうするかというものに移った。
椎菜と麗眞は、文化祭に向けた準備と並行して軽音楽サークルを新たに作る計画だという。
部長が麗眞、副部長が椎菜となっているよう。
「深月も入らない?
お父さんがアイドルしている姿を見ているから絶対、いいステージが出来ると思う!」
「そうそう。
深月ちゃんなら、心理学使って、お客の心も知らない間に掴んでそうだしね」
麗眞くんまで……
その場で勧誘するのって、ありなんだ……。
「面白そうだし、いいよー」
深月も、即答しちゃう所が度胸あるなぁ……。
華恋は演劇部に入部を決めているという。
「恋愛のカリスマ」の異名を持つ華恋なら、恋愛劇の演技なら鬼のように、熱血指導をするだろう。
その絵面が容易に想像できて、私は思わず吹き出した。
ちゃっかり、深月も演劇部を掛け持つというから驚く。
「掛け持ちって、いいんだ……」
「深月、掛け持ち、大丈夫なの?」
誘った側の華恋も、思わず聞き返す。
「大丈夫、大丈夫!
メインは麗眞くんと椎菜のサークルにするよ。
華恋の所は、脚本を手伝いたいだけだから!
下手な脚本書いてリアリティーのないものは作りたくないし!
心理学って、演技にこそ役立てるものだと思ってるからね」
さすがはカウンセラーの娘。
高校なのに、プロのように見えてくる。
美冬は放送部に入部を決めたらしい。
お昼に、部員がローテーションで番組を持つことを、新人ながら企画して部長にプレゼンしたという。
部員たちは、授業中に内職したりしながら企画を考えているようだ。
華恋と深月は、クリスマスやバレンタインの時期に聞いている生徒から恋愛相談のハガキを募ろうと話している。
そして、寄せられたお悩みにお答えする「恋愛相談」コーナーをやらせてくれと提案している。
「ラジオ番組やるの?
やるなら、俺の親父の知り合いがラジオ番組のディレクターだし、相談するなら連絡先教えるよ。
どうせやるならさ、派手にやろうぜ?
その方が楽しいじゃん」
麗眞くん、人脈広すぎ……
「私もそう思う。
どうせやるなら派手にやって、悔いがないようにした方がいい結果出ると思う」
私は、そんな言葉しか掛けられなかった。
「あ、琥珀ちゃんもサークル誘うか。
アイツも父親がアクション俳優までやってるからな。
しかもコンサートでは演出担当してるし。
親父の手技をいろいろ盗んでそうだし」
帳……琥珀ちゃんか。
入院した日のTV越しにしか顔を見ていない。
「皆、充実していていいなぁ。
早く学校に戻りたい」
私の言葉を聞いて、皆は一様に顔を見合わせて微笑んでくれた。
「夏休み前には復帰できるといいよね!」
「頑張って!」
高校に入ってから、仲間がこんなにも温かいことを、仲間がいる幸せを、改めて感じるようになった。
しばらく経って、GWの最終日には、皆がお見舞いに来てくれた。
今度は、麗眞くんも一緒だ。
彼は、この間椎菜づてに渡してくれた菓子折りがあまり減っていないのを、すでに予測していたかのようだった。
彼の執事の相沢さんがお菓子を取り分けてくれて、さらに、プラスでお菓子を持って来てくれていた。
抹茶ケーキにフルーツカステラ、ゼリーまである。
ちょっとしたお菓子パーティーのようだ。
拓実くんには、私が退院したら映画とカフェに行きたいと話して、既に日程も調整している。
その話をすると、色恋沙汰が好きな深月や華恋が喜んでくれた。
話題は、明後日に、本入部を決めることになる部活をどうするかというものに移った。
椎菜と麗眞は、文化祭に向けた準備と並行して軽音楽サークルを新たに作る計画だという。
部長が麗眞、副部長が椎菜となっているよう。
「深月も入らない?
お父さんがアイドルしている姿を見ているから絶対、いいステージが出来ると思う!」
「そうそう。
深月ちゃんなら、心理学使って、お客の心も知らない間に掴んでそうだしね」
麗眞くんまで……
その場で勧誘するのって、ありなんだ……。
「面白そうだし、いいよー」
深月も、即答しちゃう所が度胸あるなぁ……。
華恋は演劇部に入部を決めているという。
「恋愛のカリスマ」の異名を持つ華恋なら、恋愛劇の演技なら鬼のように、熱血指導をするだろう。
その絵面が容易に想像できて、私は思わず吹き出した。
ちゃっかり、深月も演劇部を掛け持つというから驚く。
「掛け持ちって、いいんだ……」
「深月、掛け持ち、大丈夫なの?」
誘った側の華恋も、思わず聞き返す。
「大丈夫、大丈夫!
メインは麗眞くんと椎菜のサークルにするよ。
華恋の所は、脚本を手伝いたいだけだから!
下手な脚本書いてリアリティーのないものは作りたくないし!
心理学って、演技にこそ役立てるものだと思ってるからね」
さすがはカウンセラーの娘。
高校なのに、プロのように見えてくる。
美冬は放送部に入部を決めたらしい。
お昼に、部員がローテーションで番組を持つことを、新人ながら企画して部長にプレゼンしたという。
部員たちは、授業中に内職したりしながら企画を考えているようだ。
華恋と深月は、クリスマスやバレンタインの時期に聞いている生徒から恋愛相談のハガキを募ろうと話している。
そして、寄せられたお悩みにお答えする「恋愛相談」コーナーをやらせてくれと提案している。
「ラジオ番組やるの?
やるなら、俺の親父の知り合いがラジオ番組のディレクターだし、相談するなら連絡先教えるよ。
どうせやるならさ、派手にやろうぜ?
その方が楽しいじゃん」
麗眞くん、人脈広すぎ……
「私もそう思う。
どうせやるなら派手にやって、悔いがないようにした方がいい結果出ると思う」
私は、そんな言葉しか掛けられなかった。
「あ、琥珀ちゃんもサークル誘うか。
アイツも父親がアクション俳優までやってるからな。
しかもコンサートでは演出担当してるし。
親父の手技をいろいろ盗んでそうだし」
帳……琥珀ちゃんか。
入院した日のTV越しにしか顔を見ていない。
「皆、充実していていいなぁ。
早く学校に戻りたい」
私の言葉を聞いて、皆は一様に顔を見合わせて微笑んでくれた。
「夏休み前には復帰できるといいよね!」
「頑張って!」
高校に入ってから、仲間がこんなにも温かいことを、仲間がいる幸せを、改めて感じるようになった。