ビターチョコ
GWが明けて、部活動の本入部と同時に体育祭の練習も忙しくなった。
体育祭が終わって数週間が経った頃だった。
皆が放送部の初仕事、ビデオ録画をしたものを持って、親友たちが私に体育祭がどんなものだったか教えてくれた。
クラスによって、色が分かれているらしい。
しかも、どういうわけだか「ローザ」「ヴェルデ」「ヴィオーラ」という分け方で、
それぞれイタリア語でピンク、緑、紫らしい。
普通、赤とか白とか青とか黄色じゃない?
と思ったが、そこはツッコミを入れても仕方がない。
違う学年でも、色が同じなら「チーム」という扱いになるようだ。
ちなみに、私のクラスは優勝は逃したが、準優勝だったらしい。
部活対抗リレーでは、美冬たち放送部はマイクで自分達が実況しながら走ったという。
さらに華恋のいる演劇部も部員募集のために走ることになり、劇の仮台本をバトン代わりにして走ったというから、まだ痛むお腹がはち切れんばかりに笑った。
それだけでは終わらない。
借り物競争ならぬ借り人競争でもいろいろあったようだ。
『この正瞭賢高等学園の卒業生を連れて来い』というものに皆戸惑ったらしい。
正解は、何と養護の伊藤先生だと知り、どよめきが起こったという。
私も知らなかった……
『この学園の公認カップルを連れて来い』という、誰もが分かる問題なだけに、引いた人はラッキーで、しかもウチの色、「ヴェルデ」の人が引いたというから、麗眞くんと椎菜は全力で走ったらしい。
全校生徒が集まる前だというのに、麗眞くんがご褒美と言わんばかりに椎菜にキスしたと聞いて、開いた口が塞がらなかった。
「んも、麗眞には映像に残るから止めてって言ったんだけど。
『どうせなら後の代まで見せつけてやろうぜ』って言って聞かなくて」
そう言う椎菜は、まんざらでもなさそうに、私が寝るベッドの側で耳まで顔を真っ赤にしていた。
話は尽きなかった。
学園の体育祭では応援合戦と称した、各組ごとのダンス披露の時間があるのだという。
麗眞くんがガチで指導して、彼のお父さんや、知り合いのダンス振り付け師まで呼ぶ力の入れようだった。
連日、皆で宝月家の屋敷の地下2階にあるダンスレッスン室まで貸切にして練習したようだ。
その甲斐あって、応援合戦部門では私たちの組が優勝した。
その練習のメイキング映像も撮影し、編集して映像にしてあるという。
それも、本来であれば参加していたから、と言って特別に見せてくれた。
映像では、私たちより2学年上の先輩たちが、息を切らせて床に座り込む様子が何度も映されていた。
「おら、もう1回!
今日はあと1回で終わりにするから、頑張れ!」
皆に喝を入れているのは、ジャージを着た麗眞くんのお父さんだ。
「麗眞くんのお父さん、気合入ってたのよね。
何せ、ローザに自分と同じダンスボーカルユニットメンバーの娘、琥珀ちゃんがいるからね。
負けたくなかったんでしょ」
補足してくれたのは、彼女の父親もアイドルである、深月だ。
「負ける気がしない。
絶対勝つ。
目標はそれだけですね」
放送部の美冬が麗眞くんのお父さんに意気込みを聞くため、マイクを向けた時に、彼はそう語っていた。
皆で1つのものを作り上げるって、大変そうだけれど、こんなにも熱くなれるんだ……
私も、そんな経験がしたい。
映像を見ていて、私はこんなことを感じたのだった。
体育祭が終わって数週間が経った頃だった。
皆が放送部の初仕事、ビデオ録画をしたものを持って、親友たちが私に体育祭がどんなものだったか教えてくれた。
クラスによって、色が分かれているらしい。
しかも、どういうわけだか「ローザ」「ヴェルデ」「ヴィオーラ」という分け方で、
それぞれイタリア語でピンク、緑、紫らしい。
普通、赤とか白とか青とか黄色じゃない?
と思ったが、そこはツッコミを入れても仕方がない。
違う学年でも、色が同じなら「チーム」という扱いになるようだ。
ちなみに、私のクラスは優勝は逃したが、準優勝だったらしい。
部活対抗リレーでは、美冬たち放送部はマイクで自分達が実況しながら走ったという。
さらに華恋のいる演劇部も部員募集のために走ることになり、劇の仮台本をバトン代わりにして走ったというから、まだ痛むお腹がはち切れんばかりに笑った。
それだけでは終わらない。
借り物競争ならぬ借り人競争でもいろいろあったようだ。
『この正瞭賢高等学園の卒業生を連れて来い』というものに皆戸惑ったらしい。
正解は、何と養護の伊藤先生だと知り、どよめきが起こったという。
私も知らなかった……
『この学園の公認カップルを連れて来い』という、誰もが分かる問題なだけに、引いた人はラッキーで、しかもウチの色、「ヴェルデ」の人が引いたというから、麗眞くんと椎菜は全力で走ったらしい。
全校生徒が集まる前だというのに、麗眞くんがご褒美と言わんばかりに椎菜にキスしたと聞いて、開いた口が塞がらなかった。
「んも、麗眞には映像に残るから止めてって言ったんだけど。
『どうせなら後の代まで見せつけてやろうぜ』って言って聞かなくて」
そう言う椎菜は、まんざらでもなさそうに、私が寝るベッドの側で耳まで顔を真っ赤にしていた。
話は尽きなかった。
学園の体育祭では応援合戦と称した、各組ごとのダンス披露の時間があるのだという。
麗眞くんがガチで指導して、彼のお父さんや、知り合いのダンス振り付け師まで呼ぶ力の入れようだった。
連日、皆で宝月家の屋敷の地下2階にあるダンスレッスン室まで貸切にして練習したようだ。
その甲斐あって、応援合戦部門では私たちの組が優勝した。
その練習のメイキング映像も撮影し、編集して映像にしてあるという。
それも、本来であれば参加していたから、と言って特別に見せてくれた。
映像では、私たちより2学年上の先輩たちが、息を切らせて床に座り込む様子が何度も映されていた。
「おら、もう1回!
今日はあと1回で終わりにするから、頑張れ!」
皆に喝を入れているのは、ジャージを着た麗眞くんのお父さんだ。
「麗眞くんのお父さん、気合入ってたのよね。
何せ、ローザに自分と同じダンスボーカルユニットメンバーの娘、琥珀ちゃんがいるからね。
負けたくなかったんでしょ」
補足してくれたのは、彼女の父親もアイドルである、深月だ。
「負ける気がしない。
絶対勝つ。
目標はそれだけですね」
放送部の美冬が麗眞くんのお父さんに意気込みを聞くため、マイクを向けた時に、彼はそう語っていた。
皆で1つのものを作り上げるって、大変そうだけれど、こんなにも熱くなれるんだ……
私も、そんな経験がしたい。
映像を見ていて、私はこんなことを感じたのだった。