●全力妄想少年●
「タラター、タター、ターララ」


「え!何?もう一回!」


「だから、タラター、タター、ターララ、だって」


「絵梨佳は知らない!だから、そんな曲はない!」


「そんな…」


鈴木さんも「手がかりになるかは分からないけど調べる必要はありそうね」と言ってくれたものの、イヤホンから聴こえてきたのはたったワンフレーズ。

男の人の声なのは確かだが、何と言っているかすら分からない(たぶん英語だ)。


「メロディだけじゃ分からないよー」


そう言って机に突っ伏す彼女を今度は僕が「一緒に頑張ろう!」と励ます番だった。
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