●全力妄想少年●
「あ、あの曲に関してだけど……」


名誉挽回するべく、僕も情報を提供しようと試みた。

「何かわかったの?」


「何も分からない、ということが分かった」


失敗した。




「……小林くん、あのね」


諭すような口調で鈴木さんが言った。


「想いはとても大事だけど行動が伴わなきゃ愛って言えないよ」


頭の中が、がーんと鳴り響いた。
今朝中西さんに、「愛してるから」と格好つけたばかりなのに、少しは分かってきたつもりだったのに、また鈴木さんに否定されてしまった。
< 36 / 57 >

この作品をシェア

pagetop