君愛。
「痛っ、すいません!」


雪の降る寒い季節に私と雄大は出会った。

寒くて私が下を向いて歩いて居ると、男の人とぶつかって尻餅をついてしまった。


「ああ、大丈夫。悪い、立てるか?」


ふ、と上を見ると髪を金髪に染めた男の人が手を差し伸べていた。


「ありがとうございます。」


恐る恐るその手をとって立ち上がると、
心配そうにこちらを見ている男の人。


そう、この人こそが雄大だった。


行動を見ていると、見た目で人を判断しちゃいけないな、と思った。

だって根も悪い人なら私を助けてくれないはずだから。

「......気を付けろよ。」


去って行こうとするその人を、私は無意識に呼び止めていた。


「あの!名前、聞いてもいいですか?」


「雄大、お前は?」


私の方を向かずに言うその人に、私も慌てて名前を伝えた。


「由美です、ありがとうございました!」

彼に聞こえる様に大きめの声で言うと、


「雄大で良い。由美、宜しく。」

それだけ言って、雄大は去っていった。


私は無意識に彼の背中を見続けていると
聞こえたチャイムの音に、急いで学校へと走った。
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