白い海を辿って。
彼女とはその後も連絡を取り合って、次に会う約束もした。
理瀬さんとはとくに何もなく、理瀬さんと彼女にも何もなさそうだった。
だけど2人に以前何かあったのは間違いなさそうだし、離婚して月日が経てばまた動き出すかもしれないと思うと気が気でない。
渡したくないんだ、誰にも。
『私、青井先生のことが好きです。』
1人の生徒がそう告白してきたのは、彼女のことで頭がいっぱいになっているときだった。
今俺が担当している生徒で、確か大学1年だったはずだ。
「ありがとう。でもその気持ちに応えることはできないよ。」
いつも通り、刺激しないように丁寧に断ればそれで終わると思った。
『私が生徒だからですか?じゃあ卒業検定に合格したらもう1度告白してもいいですか?』
だけどこの生徒は思いがけず俺に食い下がってきた。
生徒だから卒業してもそういう目で見ることはないと言おうとして、言葉に詰まる。
彼女は生徒だったけど好きになってしまった。