白い海を辿って。
通っていた頃に好きだったわけではないけれど、出会いは教官と生徒だった。
いや、通っていた頃から好きだったのか。
だけどそれは彼女だったからで、他の生徒に卒業してから告白されたとしてもきっと何も思わない。
「生徒じゃなかったとしても無理だから。」
無意識のうちにそんなぶっきらぼうな声が出てしまい、傷ついた表情を浮かべているのを見てまずいと思った。
だがそれも時すでに遅し、ひどいと漏らしてからポロポロと泣き出してしまう。
これはまずいことになったと辺りを見回すと、ちょうど早見先生が通りかかった。
『少し別室で話そうね。』
俺たちの様子を見て瞬時に状況を理解した早見先生がその生徒をなだめながら歩いて行く。
やってしまった…。
早見先生の後ろを歩きながら、冷静さを欠いた後悔でいっぱいになる。
「本当にすみませんでした。」
別室へ移動して早見先生が生徒を慰めると、数分で生徒は納得して帰って行った。
俺が強く言ったことに驚いて泣いてしまっただけで、やっぱり軽い気持ちだったのかもしれない。
その背中を見送り、思い切り早見先生に頭を下げる。