白い海を辿って。
『珍しいな、感情的になるなんて。』
「すみません。ちょっと考え事してました。」
2人になった部屋で早見先生が少しとがめるような口調で言う。
俺がしっかり対処していれば、こんな面倒事にはならなかった。
貴重な休憩時間を潰してしまい申し訳なくなる。
『はっきり断るのも大事だけど、今後は気をつけて。』
「はい。…あの、」
部屋を出て行こうとする早見先生をとっさに呼び止めていた。
休憩時間はもう終わろうとしている。
「生徒と恋愛関係になるのが良くないことだとは分かってます。でも、元生徒はどうなんでしょうか。」
『元?』
「はい。生徒として出会ったとしても、卒業した後ならそういう関係になっても問題ないですよね。」
どうしてこんなに焦っているのだろう。
俺が今必死な表情をしていると、見なくても分かった。
『卒業してからなら問題ないだろうけど…何?そういうことでも起きてるの?』
早見先生が彼女を気にかけていた姿を思い浮かべる。
俺が彼女のことを好きだと言ったら、早見先生は応援してくれるだろうか。