白い海を辿って。

「起きてると言えるほどまだ何かあったわけじゃないんですけど、もしかしたら今後相談させていただくかもしれません。」

『俺に？』


早見先生はきっと彼女のことを何か知っているのだろうし、理瀬さんと彼女のことも少なからず知っているはずだ。



「滝本さんなので。」


俺はずるいと思った。

俺が滝本さんのことを好きでいると理瀬さんの耳に入れてもらおうとしている。

そうして理瀬さんが彼女のことを諦めてくれればいいと思っている。



『へぇ…。』


早見先生は分かりやすく驚いて動きを止める。



『そんな繋がりがあったのか。』

「まだまだこれからですけどね。」


ふっと何か考えるような表情を見せた早見先生の頭に浮かんでいるのは彼女か、それとも理瀬さんか。



『本気なんだな？』

「はい。真剣です。」


早見先生のように大人で家庭もある先輩から見れば、俺はまだまだ若くてチャラチャラしているように見えるのかもしれない。

だけど彼女のことは、ちゃんと真剣だと伝えておきたかった。