白い海を辿って。
「おはよう。」
『おはようございます。』
お互いの休日が合った平日に、彼女と朝から出かけることになった。
綺麗なキャメルの薄手のコートが可愛い。
その下に着ている白地にブラウンのストライプが描かれたワンピースもとてもよく似合っていた。
「じゃあ出発するね。」
可愛いな、とつい眺めてしまった俺を不思議そうに彼女が見上げて、慌てて車を発進させる。
「楽しみだね、水族館。」
『すいません、子供みたいで。』
行き先は彼女が希望した水族館だった。
行きたいと思っているけれど遠いし、一緒に行ってほしいと家族にも頼めないと彼女は言っていた。
頼めばいいじゃんと思ったけれど、何か遠慮してしまう気持ちがあるのかもしれない。
「そんなことないよ。俺も久しぶりに行ってみたかったし。」
家族にも頼めないと言った彼女が俺を頼ってくれたことが嬉しくて、テレビでもよく紹介されている隣県の水族館まで行くことにした。
彼女も楽しみにしてくれていたのか、今日は表情が明るい。