白い海を辿って。
ひとりとふたり。
【Asumi side】
『気になることがあれば遠慮せずに何でも言ってね。』
青井さんの言葉にはいと答えた声はとても小さくて、聞こえたかどうか不安だった。
水族館へと向かう車内は心地良く暖かくて、青井さんの気遣いが嬉しい。
こんな風にまた一緒に出かけられることも、行きたかった場所に連れて行ってもらえることも、本当に嬉しかった。
面倒になったりしない。
俺はいなくなったりしない。
初めて2人で出かけた夜に、青井さんはそう言ってくれた。
不安だらけだった私に、優しく優しく接してくれた。
この人を信じてみてもいいかもしれない、そう思った。
それと同時に、先生は私の前からいなくなってしまったのだろうかと思う。
連絡を取り合わないまま、あれから2ヶ月が経とうとしている。
会いたくなったら連絡してもいいですかと聞いたけれど、私は連絡をしていない。
私はもう、先生に会いたいとは思わないのだろうか。