白い海を辿って。
1度離れて体の向きを変えると、今度は正面から青井さんの胸に飛び込んだ。
「私も。」
考えるよりも先に体と声が動いていた。
「私も好きです。」
今まで考えてこなかったはずなのに、今この瞬間に好きになったのだと思った。
後ろは見ないで、前へ進みたいと。
『ありがとう。』
片手を背中に、片手を頭に。
決して力まかせではない優しさに胸が詰まる。
“ありがとう”と言ってもらえることは、こんなにも嬉しいんだ。
これからはいっぱいいっぱい、青井さんにありがとうと言いたい。
『絶対大切にするから。絶対傷つけたりしないから。俺と付き合ってください。』
体を離して顔を見ながらそう言ってくれた。
不安がないなんて言ったら嘘になる。
私に普通に付き合っていくことなんてできるのか心配でたまらない。
「お願いします。」
だけど一緒にいたい。
いなくなったりしないと言ってくれたから。
この人を信じよう。
そう思った。