白い海を辿って。
どう返信しようか迷いに迷って、結局「元気にしています」という一言だけを返した。
先生は元気だろうか。
まだ自信をなくしたままでいるのだろうか。
どうして急に連絡なんて…。
私に会いたいと思ってくれているの…?
結婚も離婚も重要なことだと捉えていなかった結果、ひとりになってしまった先生。
いい大人なのにどこか危なっかしくて、放っておけないようなところがある先生。
一緒にいたかったし、ひとりになったときに力になりたかった。
好きだったな、と思う。
好きだった、と。
短い通知音が鳴って画面を見ると、今度は“青井さん”と表示されていた。
私が今、好きな人。
今日はありがとうから始まり、疲れなかったかなという気遣いやまた行こうという言葉が綴られている。
さっき言えなかった運転ありがとうを伝えなければ。
ゆっくりと返信を打ってから、登録名を“青井さん”から“はるくん”に変えた。
先生からの返信は、もうこなかった。