白い海を辿って。
『2人で会ったりはしてたんだよな?』
「それは…何度か。」
『ごめん、問い詰めるような聞き方になって。』
苦しげな声に胸が詰まる。
だけど話せない。
同じことを繰り返してしまいそうで怖いと言った先生のことは。
『本当に何もなかったって明日実の口から聞いておかないと、俺が安心できないんだ。』
「そうだよね…ごめんなさい。でも本当に何もないの。」
語尾が震えてしまうのを必死でこらえる。
先生と会わなくなってから、私はこうして彼と付き合うようになった。
だけど先生は、きっと今もひとりだ。
『信じていいんだよな…?』
「信じてほしい。だから、」
彼がくれたペットボトルをぐっと握りしめる。
「だから、私の話も聞いてほしい。」
隣に座る彼を見上げると、まっすぐな瞳とぶつかった。
「はるくんだから言える。うまく話せるか分からないけど聞いてほしい。」
話す前から泣いていたら意味がないのに、涙が溢れて止まらない。
そんな私を彼が抱き寄せた。