白い海を辿って。

『薬の名前だけ聞いても俺には分からないし、1度主治医の先生に確認してもらって大丈夫ならば受け入れることにした。』


まだ俺が出会う前の彼女を頭に思い描く。



『その後お母さんは運転に支障のない薬だと主治医に確認してきてくれて、それなら問題ないだろうと入所してもらうことになったんだけど…』

「けど…?」

『娘は男性が苦手で、薬を飲むきっかけになった出来事が少し前にあったと、お母さんが。それ以上の詳しいことは聞いてないんだけどな。』


すっかり冷めた料理を見ながら、早見先生も俺も彼女のことを考えている。

今、彼女は何をしているだろう。

会いたいと思った。



『男性の教官と車内で2人になったりしたら、少し取り乱してしまうこともあるかもしれない。だけど頑張って免許を取らせたい、娘が前に進む為にって。』


そうして俺が出会った彼女は、少し不安気で頼りないところはあるけれど、何の問題もない女の子だった。

それは彼女が“頑張って”いたからだと知る。




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