白い海を辿って。
嬉しさと戸惑い。
【Asumi side】
彼に全てを話してから、私の日々はとても穏やかに過ぎていった。
沢山話して、出かけて、一緒に過ごす時間が本当に多くなった。
今までと変わらず接してくれる優しさと、さりげなく見せてくれる気遣いにどんどん彼を好きになっていく。
大丈夫、この人なら。
『あー 緊張するなー。』
そう言いながら車から降りてきた彼は、本当に緊張で顔を強張らせていた。
今から彼は、私の家族に会う。
「別にいいのに、挨拶なんて。」
『明日実って変なとこで適当だよな。』
「そう?」
ふっと緊張を緩めて笑った彼に私の気持ちも少しやわらぐ。
今日、私は初めて彼の家に泊まる。
一緒にいる時間を増やしたい、そう言ってくれた彼の言葉は本当に嬉しくて、その前に家族に挨拶したいと言ってくれたこともまた嬉しかった。
別にいいと言ったのは照れくさかったからで、本当はその丁寧な心遣いに感謝している。