白い海を辿って。
翌日は朝から彼女と遠出することになっていた。
そのために昨夜俺の家に泊まった彼女は、俺よりも先に起きていた。
『おはよう。』
「おはよう。」
既に着替えている彼女が、俺が昨日プレゼントしたエプロンを着けて微笑む。
似合うな。可愛いな。
そんなことを思いながら、再び閉じてしまいそうな瞼をこじ開ける。
だめだ、幸せすぎるぞこの光景。
「よく眠れた?」
二度寝してしまわないように起き出し、彼女を後ろからそっと抱きしめる。
髪からはやっぱり俺と同じ香りがして、あぁ一緒にいたんだなとまた幸せを感じる。
『うん、眠れたよ。』
「良かった。」
彼女が俺の腕に手を添えて、そのままあごを置く。
普段はほとんど甘えてこない彼女が、今は自ら手を握ってくる。
「どうかした?」
『ううん。なんか、ほっとして。』
「ほっと?」
『はるくんが普通に起きてきてくれて。』
何それと笑うと、彼女もなんだろうねと笑う。
腕を掴む力が、少し強くなった。