白い海を辿って。
「先生はそんな人じゃないよ。」
だけどちゃんと伝えたくて、わかってほしくて。
「先生はそんなこと思ったりしない。きっと、良かったねって言おうとしたんだよ。」
『俺はそんなこと言われなかったけど。』
精一杯の言葉を簡単に退けられてしまって、もう言えることがなくなってしまう。
でも、ずっと好きでいてくれるなんておごりも面白くないなんて妬みも、きっと先生にはない。
誰かを幸せにすることなんてできないと苦しそうにつぶやいた先生の横顔を思い出す。
たった1人の人生も守ることができなかったと悔やみ、全ての自信を失ってしまった先生が、そんなことを思えるはずがないんだ。
『まだどこかに好きな気持ちが残ってるんじゃないのか。』
「そんなことないよ。ないから、はるくんと一緒にいる。」
『じゃあなんで連絡先消してなかったんだよ。』
「それは…」
とくに消す必要もないと思ったし、そこまで意識していなかった。
何を言っても言い訳に聞こえてしまいそうで、また言葉に詰まる。