白い海を辿って。
どこにいても、ずっと自分を認められなかった。
理瀬 秀人(リセ シュウト)、28歳。
普通に大学を出て、普通に就職して、普通に結婚した。
自動車教習所の教官になってからは、仕事へ行って自宅に帰る、そんな変わらない毎日を何年も繰り返している。
ただただ普通に生きてきた。
自分には何もなくて、きっとこれからも何も起きないのだろう。
そう思っていた。
そんな俺に訪れた人生初の普通じゃない出来事。
別居、そして離婚危機。
俺の生活は、俺の意思は、どこにあるのだろうか。
そんな俺に、忘れかけていた恋を思い出させてくれたのは、純粋無垢な元教え子だった。