白い海を辿って。
なぜ苦しいのだろう。俺が。
理瀬さんがまだ彼女を好きかもしれないということに?
傷つけたくないから気持ちを封印してひとりでいることに?
『ちゃんとするから待っててほしいって滝本さんに言ったのに何もできなくて、気持ちだけ揺さぶって振り回すようなことをした。本当に申し訳なくて、もう合わせる顔がない。』
何か言いたいのに、さっきからただの相槌ひとつも出てこない。
合わせる顔がないと思っているだけで、会いたいはずだ。
今も、きっと、彼女に。
だけど、2人がまた会ってしまったら…?
『だから安心した。青井くんと付き合ってると知って。幸せでいてくれることにほっとした。』
青井くん、と俺を呼ぶ声はやっぱり掠れていた。
『滝本さんのこと、よろしくな。ちゃんと守ってあげてほしい。』
苦しくて苦しくて息が詰まる。
本当だった。
彼女が言っていた通り、理瀬さんは良かったねと伝えようとしていたんだ。