白い海を辿って。
『それ、全然終わってないよね。』
だけど倫子さんから返ってきたのは、そんな一言だった。
『明日実ちゃんが終わったことにしたいだけでしょう?その先生とのことも、勝手に連絡先消されちゃったことも。それ何も解決してないよ。』
「そうなんでしょうか。」
『ひどいでしょ、勝手に連絡先消しちゃうって。なんでそんなことされなきゃいけないの?もっと怒ってもいいことだよ?』
確かにそうかもしれないけれど、私にはどうしても怒れなかった。
消されたのが先生で、疑われるようなことをしたのが申し訳なかったからじゃない。
『あ、ごめん。つい熱くなっちゃって。』
「いえ、そんな…。」
なんでそんなことするのって、言おうと思えばいくらでも言えた。
でも言わなかったのは、それがきっかけになってそれ以上のことをされるのが怖かったから。
悪いのはお前だろと、ささいなことがきっかけでどんどん気持ちがエスカレートしていったあの人のように。