白い海を辿って。

まったく、物好きもいるものだ…。

ここへ来てから、椎野さんはちょくちょくこうして声をかけてくる。

俺が離婚したてのバツ1だということは、ここまで届いていないみたいだ。


帰宅するととりあえず風呂を沸かし、コンビニで買ってきたばかりの弁当を温める。

レンジを回している間にスマホをチェックすると、画面に表示された名前に息が止まりそうになった。


"滝本さん"

LINEが届いていることを知らせるその通知に、鼓動が一気に速くなる。

どうしてだ。

あれだけ繋がらなかったのに。


最後に滝本さんに会ったのは、俺が離婚した直後。

大切にしたいと思いすぎて、傷つけるのが怖くて、手を放してしまった。


会いたくなったら連絡してもいいですかと言ったのは滝本さんだったけれど、連絡がきたことはなかった。

俺が1度、どうしても元気でいるか気になったときに送ったLINEに一言の返信がきただけ。


彼女から連絡がこないということは、彼女が俺に会いたいとは思っていないということだ。


そのことに、少しだけほっとしていた。



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