白い海を辿って。

『ずっと連絡しなくてごめんなさい。』


コーヒーと紅茶が運ばれてきてから、滝本さんが先に話を切り出す。



「そんな、謝ることじゃないから。」

『でも…』


何かを言おうとして迷っている滝本さんの言葉を静かに待つ。

気にすることではないと、元気でいてくれればそれで良かったと、俺から言いたいことも沢山あったけれど、何も言わなかった。



『最後に、会いたくなったら連絡してもいいですかって言ったことがずっと気になってて。』

「うん。」

『連絡しなかったのは、会いたくなかったからじゃないんです。』


どこかで連絡がくることをずっと期待しながら、くることを怖れていた感情をどう説明すればいいのだろう。

会いたくなかったからじゃないと聞けて、こんなにもほっとしている自分に戸惑う。



「分かってる。簡単に連絡できないようなことを言ったのは俺だから。」

『でも、』

「俺の方こそこの前、何度も電話をしてごめん。」


青井くんから付き合ってることを聞いたあの日。

繋がらなかった電話に、もう本当に終わったのだと思った日。



< 241 / 372 >

この作品をシェア

pagetop