白い海を辿って。
『順調そうで何よりだねー。』
私が買ってきたお土産のクッキーを食べながら倫子さんがつぶやく。
『一時はどうなるかと思ったけどね。良かった良かった。』
「ありがとうございます。」
『何かどんどんおしゃれになってきてるし。』
「そうですかね。」
恥ずかしさからごまかしたけれど、実は少し気にしていた。
選ぶ服やアクセサリーも、今までとは違ってきていると思う。
「なんか…気になるんですよね。」
『何が?』
「彼の隣にいると、いろんなことが気になっちゃって。もっとおしゃれにならないとなって。」
『まぁイケメンだからな~。でもさ、明日実ちゃんの素朴なところが好きなんだと思うよ。』
椅子をくるくると回しながら、倫子さんはなぜか楽しそうだ。
『イケメンで自分がモテることを自覚してるような男こそ、おとなしくて素朴な子が好きなんだから。』
「ほんとですか?」
『ガチガチに着飾ってる女なんて好きじゃないのよ。』
評論家のような言い方が面白くて、気にしていたことが何でもないような気がしてくる。