白い海を辿って。

『だからあんまり変わってほしくないと思うよ？そのままで充分可愛いんだから。』

「全然自信ないんですけど…。」

『それ以上可愛くなるとどんどんモテて青井さんが心配するぞ～。』

「ないですって。」


もはやからかっている倫子さんは、いつも自然体で綺麗だ。

倫子さんのようになりたいと思うけれど、私にはとても手が届かない。



「倫子さんはどんな人を好きになるんだろうなぁ。」

『私？』


ふいに気になって聞いてみると、倫子さんは動きを止める。

私の話はするけれど、倫子さんの恋愛事情はほとんど知らない。



『私は地味な人がいいね。青井さんはタイプじゃないわ。』

「彼のことは聞いてません。」


２人で笑うと、倫子さんは私の髪をぐるぐると撫でて仕事に戻った。


彼の隣で背伸びをしていることをずっと自覚していた。

確かに彼は目立つし、実際にモテるのだと思う。

だけど皆が皆、彼を好きになるわけではないのだと倫子さんと話していて気付いた。


私はこのままでいいと思える程の自信を、これからつけていきたい。