白い海を辿って。
まだ知らない姿。
【Haruta side】
車で走っていると、少しずつ咲き始めた桜が目につくようになってきた。
彼女とお花見行けるかなと考えながら、今日も仕事へ行く。
「おはようございます。」
『おはよう。』
同じタイミングで出勤してきた先輩の高嶺さんに声をかけると、なぜかニヤニヤと楽しそうに笑っている。
「なんすか。不気味なんですけど。」
『いやいやいや!お前水くさいだろ!』
「だから何がですか。」
高嶺さんは俺よりも1年先輩で、年齢も近いことから仲良くしてもらっている。
朝から絡まれる理由が思い当たらずに考えていると、後ろからパーカーのフードを引っ張られた。
「なにすんですかー。」
『このー!幸せ者めー!』
「はぁ?」
『滝本さんといつから付き合ってたんだよ!』
「えっ?」
驚いて振り返ると、相変わらずニヤニヤ顔の高嶺さんと目が合う。
確かに報告していなかったのは水くさいと思われるかもしれないけど…。