白い海を辿って。
消えない想い。
【Shuto side】
『ご飯まだですか?』
「なんでいるのかな?」
なぜか、また自宅に椎野さんがいる。
クリスマスの夜になりゆきで初めて来てから、ちょくちょくこうして来るようになった。
『なんでって、さっき一緒に車で帰って来たじゃないですか。』
「だから、なんで一緒に帰ってきたのかな。」
『いいじゃないですかどうせお互いひとりなんだし。』
あの日は多少の下心はあったのかもしれない椎野さんだが、今ではそんなものは全く感じられない。
沢山話すようになって俺のことを知ったらそんな対象ではなくなったのだろう。
だからこの関係が恋愛に発展する可能性は極めて低いというかゼロだから、楽ではあるのだけど。
『で、ご飯できました?』
「できました?じゃなくて、何か食べたいなら手伝って。」
『もうー私お客さんですよー?』
ぶつぶつ言いながらも椎野さんはキッチンへやってくる。
直後に、冷蔵庫を開けてがっくりと肩を落とした。