白い海を辿って。
『何?あれ…完全に不審者だよ?』
「俺らも変わらないけど…」
物陰から青井くんを見ているのは、若い男性だった。
教習生からの人気が高く告白されることも多い青井くんだが、それは全て女性からの話だ。
『何か恨みでもかってるんじゃない?あの人の彼女と浮気したとかさ。』
「いやいや、しないだろ浮気なんて。」
『でもあれはちょっと…。通報します?』
「うーん…。」
あまり首を突っ込むのは危険だが、放っておくのはもっと危険だ。
何かあってからでは遅い。
「俺から先輩に連絡しとくよ。」
『先輩?警察でしょ警察!』
「警察には先輩から連絡してもらうから。」
車を少し移動させ、コンビニの駐車場から早見さんに電話をした。
すぐに対応するという言葉を聞いて電話を切る。
何ひとつ事情は分からないが、ざわざわとした胸騒ぎが収まらない。
「ごめん、やっぱり戻るわ。」
椎野さんの返事を聞く前に車を出し、教習所へ走った。