白い海を辿って。
あの日から、俺は彼女と会っていない。
あいつを見つけたのが理瀬さんだったということは、動揺させないためにとっさに隠してしまった。
俺を守りたいと言った彼女を、俺のために自分に矛先を向けようとした彼女を、何が何でも守りたいと思った。
俺は何をされても構わない。
徹底的に戦う。
もう二度と、彼女があんな目にあわないために。
そうしてひとりで過ごす日々が始まってから、あの日のことを毎日のように思い出す。
『青井くん?』
俺たちが教習所の前で向き合っているところへ早見さんがやって来た。
走ってきたのか、息を切らして表情は明らかに焦っていた。
『青井くんの…お知り合い?』
「えぇ、まぁ…。」
知り合いではないが、早見さんを心配させないためにもそう答えた。
俺たちがそんな会話をしている横でも、あいつは無表情のままだった。
『中に入ってもらったら?』
「いや、でも…」
『いいんですか?』
逡巡する俺が見えていないかのように、あいつが聞く。
やっぱり俺と話しに来たんだと、覚悟を決めて向き合うことにした。