白い海を辿って。

今の俺だけじゃない、これからの俺にとってもひとりでは抱えきれないことなんだと話すことを決める。



「あいつは彼女の元恋人で、ここ最近俺のことをずっとつけてたみたいです。恨みをかってるのかどうかは…ちょっと分からないですけど。」

『そもそもどうして彼女さんの元彼が青井先生のことをつけるんですか?』

「彼女は、あいつからずっと…」


そこで言葉に詰まると、2人は何かを察したのかしばらく言葉を失っていた。

やっぱり、あまり本質までは勝手に話したくない。

その気持ちも汲み取ってくれたような、優しい沈黙だった。



『もう別れてるんですよね?なのに後つけ回すとかひどくないですか?』

「それは警察がちゃんと対応してくれると思うので。」

『いやいや!また彼女さんが何かされたらどうするんですか?私がぶっ飛ばしてやる!』

『ちょっと椎野さん!落ち着いて!』


おしぼりをテーブルに叩きつける椎野さんを理瀬さんがなだめる。

俺は彼女から話を聞く度に打ちのめされてばかりで、こんなにもストレートに怒りを表現する人に初めて出会った。



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