白い海を辿って。

『私にいい考えがある。』

「嫌な予感しかしないけど。」



俺に滝本さんを奪えなどという提案をしてから、女の影があるのは良くないと言って俺の家には来なくなった椎野さん。

それでも相変わらず居酒屋やらオシャレなレストランやらに俺を連れ出している。



『私があの男に会いに行く。それで蹴っ飛ばして警察に突き出す。』

「蹴っ飛ばしたら先に椎野さんが捕まるぞ。」


やっぱり聞くに値しなかった提案に思わず笑ってしまう。

ぶっ飛ばすから蹴っ飛ばすになってるし。



『じゃあどうすればいいわけ?』

「どうすればいいんだろうな。」

『呑気かよ~。』


とりあえず、椎野さんが暴走しないように見ていなければいけない。

蹴っ飛ばしたいのは俺も同じなんだけど。



『じゃあ滝本さんに会いに行こうかな。』

「どうしたらそういう発想になるんだよ。」

『SPになるんだよー。』

「心強いっちゃ心強いけど、近付く男全員ぶっ飛ばしそうだな。」


はははと笑い飛ばす椎野さんにようやく緊張感が和らいだ。



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