白い海を辿って。

車は自宅を通り越し、彼の家に着いた。

あのまま帰されなかったことにほっとしたけれど、まだ話の先があることに怖れてもいた。



『俺、浮気した。』

「…え?」


真っ先にソファーにぐったりと座り込んだ彼は、この一言をずっと言い淀んでいたんだ。

浮気。

浮気…。

この期に及んでもまだ、私はそれを受け入れようとはしない。



『自棄になってたんだよ。明日実といると考えなきゃならないことも全部、ひとりでいると考えなくていい。会いたいとか一緒にいたいって気持ちよりも、気楽だって思う気持ちが強くなって…。』

「聞きたくないよ。私だって、はるくんに迷惑ばっかりかけてることがずっと苦しかった。でも…また元に戻れるって…。」


しばらく会わないと決めたとき、彼は確かにそう言った。

様子を見て何もなければまた元に戻れると。


でも何かは起きた。

私にではなく、彼の気持ちに。



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