白い海を辿って。
それからすぐに理瀬さんと会った。
久しぶりに会う理瀬さんは変わらない柔らかさと爽やかな空気をまとっている。
離婚した後の落ち込んだ表情は、今やもうどこにも感じられない。
「この度は本当にすみませんでした。」
『いや、そんな謝罪会見みたいなこと言わなくても。』
小料理屋のテーブルで向かい合うと、何よりも先に謝罪の言葉が出ていた。
怒ることもせず気まずい空気にもさせずおおらかに受け止める理瀬さんが、とても遠くに感じた。
この人は大人で、自分がとても器の小さい子供であることを突きつけられたような気がして。
「明日実…滝本さんは、元気ですか。」
『あぁ、元気だよ。』
「俺のこと、何か…」
『何も聞いてない。青井くんのことは、頑なに話そうとしないから。』
ぐ、と胸を押さえつけられたような気がした。
話そうとしないのか、話せないのか。
めちゃくちゃに罵って思い切り蔑んでくれていれば良かったのに、と勝手なことを思う。