白い海を辿って。

「どうかされたんですか?」

『滝本さんが元気かどうか気になるから会いたいって。』

「じゃあ一緒にご飯食べますか?」


私の提案に理瀬さんが仕方ないな~と呟きながら返信を打っている。

再会するまで、理瀬さんに椎野さんのような人ができているなんて想像もしていなかった。

同僚や後輩という枠からはみ出しているような仲の良さに、少しだけ胸がチクりとする。



『滝本さん!』


3人分のお惣菜を買って理瀬さんの家へ行くと、玄関先で待っていた椎野さんが駆け寄ってきてハグをした。

驚きと抱きつかれた衝撃で手に持っていた袋を落としそうになり慌てて持ちこたえる。



『おい!何してんだよ!』

『だって久しぶりに会ったんだもん。』

「お…お久しぶりです。」

『久しぶり~!』


体を離すと今度は頭を撫でられて、なんだかペットになった気分だ。

何をされても嫌な気持ちにならないのは、椎野さんの飾らない人柄の良さが伝わってくるから。



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