白い海を辿って。
『うわー美味しそうだねー。』
テーブルに並べたお惣菜を見て目をキラキラさせている椎野さんは、ソファーに座る私の隣にやけにくっついて座っている。
『もう変なことすんなよ。』
『変なことなんてしないよ~ 嫉妬しちゃって。ねぇ。』
「え?いや…そんな、」
突然話を振られてあからさまに戸惑ってしまう私を椎野さんはにこにこしながら眺めている。
近くで見ても本当に綺麗な顔立ちに完璧なメイクをしている椎野さんにドキドキしてしまう。
理瀬さんは…ドキドキしたりしないのかな。
『変なことも言うな。』
『はいはい。』
理瀬さんが飲み物を運んできて、椎野さんがソファーからおりてラグに直接座る。
空いた隣には、理瀬さんがすっと座った。
この前ここで抱きしめられたことを思い出して、鼓動がとくんと音をたてる。
『さぁ飲もう飲もう。…って、飲むの私だけか。』
『滝本さんは飲まないよね?』
缶ビールを開けた椎野さんと烏龍茶を開けた理瀬さんの視線が私に向いて、一瞬息が詰まった。