白い海を辿って。
理瀬さんと過ごす時間は、ゆるゆると流れていく。
気付いたら何時間も経っていたように、静かに、自然に過ぎていく。
そんな風にして季節はまた巡ろうとしているけれど、私たちの関係は未だに変わっていない。
付き合うとか恋人とか関係なく、ただ一緒にいられることが幸せで、それで充分だった。
『ちょっと遅かったな。』
「そうですね。」
紅葉が綺麗な公園に遠出してきたけれど、もうほとんどの葉が散っていた。
誘ってくれた理瀬さんは少し残念そうだけど、私は一緒に来られただけで嬉しい。
『もうちょっと歩いてみようか。』
「はい。」
歩き始めて、ふと立ち止まる。
理瀬さんがすっと手を差し伸べていたから。
『繋ぎたいなと思ったんだけど…。』
「ふふふ。」
『ごめん気持ち悪い?』
「いえ、ごめんなさい。可愛くて。」
気を遣わせてしまってるんだと思う。
でもそれを申し訳なく思う気持ちが出てこないことが不思議だった。