白い海を辿って。

『どこかで波照間島のパンフレット見つけたら貰ってきてくれませんか?』

「波照間島?」

『最南端の島です。倫子さん、そこにも行ったらしくて。』

「へぇ、いいな。」


“波照間島”とスマホにメモをして、ネットでも検索してみた。

絵に描いたような真っ青な海が広がる写真に、一気に心惹かれる。



「明日一緒に本屋さん行くか。」

『本屋さん?』

「ここ、行きたいんだろ。ガイドブック買いに行こう。」

『秀人さんはなんでもお見通しですね。』


いろいろ候補はあれど、明日実もきっとここに1番惹かれていると分かった。

趣味や好みは、結構似ている2人だ。


翌日は2人とも仕事が休みだった。

買い物に出るついでに昼食も外で食べることにする。



『秀人?』


大型書店の程よい人混みの中で、明日実とは違う声で名前を呼ばれた。

振り返ると、そこに立っていた人物に一瞬時が止まる。



「聡美。」


元妻の聡美(サトミ)だった。



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