白い海を辿って。
高い空と広い海。
ガイドブックで見ていた写真は嘘みたいに綺麗な青だった。
だけど目の前にある海はあまりにも透き通っていて、底の白い砂がはっきりと見える。
『晴れて良かったー!』
「こいつのおかげだな。」
明日実がリュックにつけてきたてるてる坊主を掴む。
石垣島から高速船に乗って、日本最南端の有人島である波照間島へ来た。
揺れに揺れる船に心が折れそうになりながらも、入念な船酔い対策のおかげで元気に辿り着けた。
『ここにして良かったね。』
「あぁ。」
爽やかな風と潮の香りの中を手を繋いで歩く。
穏やかで、ゆるやかで、幸せな時間。
「明日実。」
『うん?』
「明日実と結婚して良かった。」
『どうしたの急に。』
おかしそうに笑いながらも、明日実は足を止めて俺と向き合う。
急じゃない、ずっと思っている。
『私も。秀人さんと結婚して良かった。』
「ありがとう。」
『ふふっ。変なの。』
くるっと背を向けて歩き出した明日実を後ろからぎゅっと抱きしめる。
今なら全てを解放的な島のせいにできた。