白い海を辿って。
指輪を外していたことを早見さんは気付いていたようだ。
これまで聞かないでいてくれたのは、きっと早見さんの優しさだろう。
『そっか、離婚か…。』
早見さんは小さくつぶやくと、少しためらいながら続けた。
『お前には悪いけど、俺今やっぱりなって思ったわ。』
「え?」
『結婚の報告されたときも式のときも、その後の結婚生活も、大丈夫かなって実はずっと思ってた。』
そんな風に心配されていたことを、今初めて知った。
「俺、そんな感じでしたか。」
『まぁな。そろそろ結婚でもしとくか、みたいな感じだったんじゃないか?本当に自分で決めた感じがしなかった。』
返す言葉が見つからなかった。
思いきり俺に原因があったことを突き付けられて。
付き合ってきた期間的にそろそろ結婚しておいた方がいいだろう、確かにそんなことを思った。
今思い返してみても、結婚したことはそれだけの理由だったのかもしれない。