白い海を辿って。
『本当に分かりやすいよなーお前。』
自分から聞いておきながら早見さんは他人事みたいに笑っている。
「なんで分かったんですか?そんなに分かりやすいかな…俺。」
『いや、他に好きな子でもできない限り、離婚にも踏み切れなさそうだから。』
「そっか…。」
俺は滝本さんが好きだと気付いてからちゃんとしなければと思った。
ずっと妻の言いなりで、流されるままここまできた。
俺の意思は、どこかに少しでもあったのだろうか。
「あの、早見さん。教えてほしいことがあるんですけど。」
『おう、なんだ?』
「…滝本さんのことです。』
『えっ、滝本さん?』
突然出てきた名前に早見さんが驚く。
でも早見さんは、きっと俺よりも滝本さんのことを知っているはずなんだ。