白い海を辿って。
『なんで急に滝本さんが出てくるんだよ。って、え?お前が好きな子ってもしかして…』
「滝本さんです。」
『そう、なのか…。』
早見さんは納得したように頷くと、しばらく考え込むように黙った。
「前に言ってましたよね?滝本さんは普通に元気なのが1番だって。」
それを聞いたとき、高峰くんや青井くんよりも親密な雰囲気を感じた。
もしかしたら早見さんは滝本さんのことを1番よく理解しているのではないかと、その言葉の意味があれからずっと気になっていた。
「教えてくれませんか?それがどういう意味なのか。」
『それは…俺が勝手に言えることじゃないから。』
早見さんが曖昧に言葉を濁せば濁すほど、自分が何も知らないことを痛感する。
『滝本さんが入所する前にお母さんが相談に来て、それに対応したのが俺だったってだけの話で、滝本さんのことをそんなに深く知ってるわけではないから。』
それでも何かを知っているであろう早見さんは、やっぱり話すことをためらう。