白い海を辿って。
この教習所は水曜日が休所日だが、たまに火曜日が休みになることがある。
すぐに滝本さんが火曜日が休みだと言っていたことを思い出し、初めて遠出をすることになった。
朝、クローゼットや引き出しの中をあさっていると滝本さんからLINEが届いた。
『この前のコンビニで待ってます』という文章は、絵文字がひとつ付けられているだけのシンプルで彼女らしいものだった。
滝本さんに会うのは、電話で『会いたい』と言われてすぐに会いに行ったあの日以来だ。
迎えに行く時間は迫っているというのに、なかなか服が決まらない。
若く見える方がいいのか、年相応な方がいいのか…。
そうして服を取っ替え引っ替えしているうちに気付く。
妻が選んだ服ばかりだ、と。
「おはよう。」
結局、妻が選んだ物ではなく自分で選んで買った服を着てきた。
シンプルなチェックシャツにジーンズ。
本当に普通だ。普通すぎる。
『おはようございます。…お願いします。』
「そんな恐縮しなくても。」
恐る恐るといった感じで助手席に乗る彼女に、自然と笑みがこぼれる。