白い海を辿って。
待つための時間。
【Asumi side】
先生と初めて2人で出かけた日から、2週間が経っていた。
あれは、デートと呼べるのかな。
いや、たぶん呼べない。
先生は結婚しているから、あれはデートではない。
あの日以降、先生からの連絡はなかった。
私は先生のことが好きだ。
だから先生が離婚するのは自分にとってプラスになるはずなのに…
どこかにこのままにしておいてはいけないと思う気持ちがあって、奥さんと分かり合えるよう先生を後押しするようなことを言ってしまった。
奥さんとちゃんと話した方がいいなんて、もしそれで2人が本当に分かり合えてしまったら、私は…
そしてそのこととは別に、私にはもうひとつ気になっていることがあった。
あの日先生は、早見先生から私のことを聞いたと言った。
早見先生は私が通っていた頃に1番お世話になっていた先生で、私が心療内科に通い薬を飲んでいることを知っている唯一の先生でもあった。
入所するときに、薬を飲んでいるけれど運転には支障はないものだと説明しておいた方がいいと母が話したのだ。